◆ 相続・遺言について ◆
人が死亡することにより相続が開始され、遺産は相続人が承継することになりますが、事前に被相続人の意思によって
財産・権利の処分などを遺言によって決めることができます。これが相続と遺言制度です。
被相続人は、遺言によって相続分を指定することができますが、この指定がないときに、民法の定めによって相続分(法
定相続分)の規定が適用されます。
法定相続分は、一応の割合に過ぎないことですので、遺言や相続人の協議等によって決めることができます。
◆ 相続・遺言の基本的なこと ◆
相続・遺言の内容は、「いつ」「だれが」「なにを」「どれだけ」相続するのかについて明確化することが基本となります。
1.相続開始の原因(「いつ」相続が発生するか)
相続の開始要件は被相続人の死亡となります。
2.相続人(「だれが」相続するのか)
民法に相続人に関する定めがありますが、被相続人は遺言により相続人を指定することができます。
3.相続財産(「何を」相続するか)
相続が開始すると、被相続人の財産に属した一切の権利は、例外を除き、全ての相続人が承継します。
相続財産に関する相続分についても、民法に定めがありますが、被相続人の遺言により指定することができます。
4.相続分(「どれだけ」相続するのか)
相続分とは、共同相続において、各相続人が相続すべき権利義務の割合、つまり積極財産・消極財産(債務等)を含む
相続財産全体に対する各相続人の持分のことを言います。
◆ 相続に関する基礎調査について ◆
1.まずは相続人を調査し確定すること
遺産分割協議をする場合には、必ず共同相続人全員が参加しなければならず、一人でも不参加者がいればその協議は
無効となります。
そのため、被相続人の改製原戸籍謄本(出生時から死亡までの全ての戸籍謄本)により、相続人を調査し確定するこ
とが必要になります。
〈サポート内容〉 □ 戸籍の取り寄せ代行 □ 相続関係図作成 □ 相続人の捜索・住所の調査 |
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2.次に相続財産の調査と評価をすること
相続人の間で相続財産を分割するためには、亡くなられた方の相続財産がどのくらいあるかを把握しなけらばなりませ
ん。この額が不確かなものであればどんなに慎重に協議をしても相続人の間で不公平な結果となったり、未相続のまま放
置されかねません。
また、不動産や動産、株式などどの位の価値があるか調査・評価する必要があります。
〈サポート内容〉 □ 不動産の登記の内容確認 □ 銀行や郵便局等の残高の照会 □ 消極財産の調査 □ 確認した財産の評価 □ 確認した財産の財産目録を作成 □ 不動産関する評価 |
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3.さらに遺言証書を捜索をすること
遺産分割協議にあたっては、遺言が優先することから、遺言書の有無を確認する必要があります。
① 自筆証書遺言調査にあたっては、相続人間の確認はもちろんのこと貸金庫、仏壇、箪笥、書斎等調査する必要があり
ます。
② 公正証書遺言調査については、公証役場の遺言検索システムの利用があります。
〈サポート内容〉 □ 公証人役場への遺言検索依頼書提出 |
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◆ 遺言証書作成に当たっての基本事項について ◆
遺言の目的は、遺言書という文書を残すことではなく「死後に遺言内容を速やかに実現する」ことです。
遺言は、相続人が遺言者の意思を知り実行することにより、遺言者にとってはもちろんのこと相続受益者にとっても有
益なものとなります。
主役は遺言者であり、本人の本心であることが大切です。
1.遺言証書の方式を決めること。
よく利用される方式は「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」の2つがあり、本人の意思で決める必要があります。
① 自筆遺言証書の作成について
手軽で費用がかからない等のメリットがありますが紛失や隠匿、信憑性、破棄等の危険性や、家庭裁判所の検認手続
きが煩雑等なこと及び法定事項が記載されていないことにより、作成した遺言書が無効となる場合があります。
〈サポート内容〉 □ 遺言内容の相談・打合せ □ 遺言書の文案(下書き) □ 遺言書の自書及びチェック □ 自書証書遺言書の法務局保管手続き(2020.7.10施行) |
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② 公正証書遺言の作成について
公正証書遺言は公証人と証人2名の面前で作成されるので「本人が自分の意思で作成した」という信憑性が高くなり
ます。そのため裁判所の検認の必要がありません。
また、本人の自筆の必要がなく、公証役場で保管されるため紛失の危険性もありません。
デメリットは、作成に手間と手数料がかかることや遺言の内容を公証人や証人に知られることなどがあります。
しかし、後の相続に関しての検認等の煩雑さや信憑性、実行性などから相続に関する紛争を避けるためにも公正証書
遺言をお勧めします。
〈サポート内容〉 □ 遺言内容の相談・打合せ □ 遺言書の文案の作成 □ 公証人との事前打ち合わせ □ 公正証書遺言の作成 □ 証人の選定 |
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2.次に遺言執行者を定めること
遺言の目的は、死後に遺言内容を速やかに実現することです。
遺言書に書いた内容を確実に実現するためにも、遺言証書に遺言執行人を定めておくことが有益です。
遺言執行者は、遺言を実現させるために法律で権限が与えられた者を遺言書に指定することで第三者の専門家でも執行者
になることが可能です。
〈サポート内容〉 □ 相続財産の調査や把握 □ 財産目録の作成 □ 相続財産の名義変更など □ 相続財産の受益者への引渡し □ その他、遺言執行者としてしなければならい事務の全て □ 指定遺言執行者の業務支援 |
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相続・遺言に関連する制度として、「任意後見制度」「民事信託制度」があります。お客様の相談内容によっ
て「任意後見制度」または「民事信託制度」の活用が適している場合があります。
◆ 任意後見制度のサポート ◆(詳細はこちら)☞
「自分の判断能力が低下してときに、自分に代わって財産管理などの仕事をしてくれる人を元気なうちに決めておきたい。」等
◆ 民事信託制度(家族信託)のサポート ◆(詳細はこちら)☞
「親として知的障害者の子供の将来が心配で、子供のために自己の財産の管理や生活の支援を確実に実施するため
の家族信託制度を利用したい。」等
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