公正証書遺言は自筆証書遺言と違い、遺言者は遺言の内容を確認して署名・押印します。遺言者が自書する
のは氏名だけでよく、自書の負担が少なくなります。
また、公証人と証人2名の面前で作成されるので「本人が自分の意思で作成した」という信憑性が高くなり
ます。そのため裁判所の検認の必要がありません。
後の相続実行に関して、紛失、未発見、改ざん等を避けるため、また信憑性実効性等からも公正証書遺言を
お勧めします。
◆ 公正証書遺言の作成について ◆
一般的な公正証書遺言の標準的な作成の流れを理解していただくことにより、依頼者の方と協力して公正証
書遺言を作成できると考えています。
1.必要書類の収集・確認支援
面談及び基礎調査で収集した書類を確認します。
□ 遺言者の印鑑登録証明書(発行後3カ月以内)
□ 遺言者の戸籍謄本(必要により原戸籍謄本、除籍謄本)
□ 受遺者(遺言を受ける相続人)戸籍謄本
□ 相続人以外の人に財産を遺贈する場合はその人の住民票
□ 土地や建物を特定して相続させ又は遺贈する場合は、その土地や建物の登記記載事項証明(登記
簿謄本)
□ 立会の証人2名の住民票
□ 公正証書遺言の作成当日は遺言者は実印・証人は認印が必要
2.文案の作成支援
聴き取りした内容と収集した資料を基に文案を作成・提示し、遺言者は内容を確認します。
□ 相続人単位の相続内容
□ 祭祀主宰者の指定
□ 予備的遺言
□ 予備の遺言執行者の指定
□ 遺言執行者の権限
□ 遺言執行事務の委任
□ 遺言執行者の報酬
□ 付言
3.公証役場への依頼と公正証書遺言作成
(1) 公証役場へ予約を入れる。(通常1週間程度)
(2) 公証人と打ち合わせをする。
① 提出書類
□ 文案
□ 聴き取りチェックシート
□ 収集した書類
② 公証人への報告事項
□ 遺言者心身の状況(遺言能力・出張の有無)
□ 遺言を残すに至った経緯・動機
□ 証人候補の有無
□ 今後のスケジュール(希望する作成日時)
打合せ後1週間程度で文案・費用が提示されます。示された文案をチェックし修正箇所があれば、
指摘し修正後、再確認します。
① 公証役場から示された文案のチェックポイント
□ 遺言者の意思が反映されているか
□ 自分の文案との相違点
□ 遺言者、相続人、受遺者、遺言執行者、証人の住所・氏名・生年月日
□ 土地建物が登記簿謄本のとおり記載されているか
□ 金融機関名、預金の種類及び口座番号
□ 貸金庫がある銀行名・支店名・口座番号
(4) 依頼者に公証役場の文案を直接会って提示・説明する。
□ 作成日時を決める。
(遺言者、公証人、証人の予定を確認して作成日を決める)
□ 作成当日の持物を指示する
・遺言者が持参するのは「実印」のみとし、印鑑登録証明書や公正証書作成手数料等は、事前
に預かりとするほうが遺言者の負担が軽減されます。
・依頼者に事前に当日の手順を具体的に説明し、安心して臨めるよう配慮します。
(5) 作成後の留意点
□ 「正本」「謄本」の保管方法
遺言者が「謄本」を、遺言執行者が「正本」を保管するするのが一般的
◆公証役場の公正証書遺言作成の手数料(HPへ)
◆ 遺言作成について知っておきたいこと
遺言作成について知っておきたい内容に関する資料と音声ガイダンスによる解説版を提供します。☞
1.統計資料から見た高齢化社会と遺言作成状況
2.遺言の基礎知識
3.遺言を作成したほうがよい場合とは
4.自筆証書遺言の記載不備による問題事例
5.「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」
6.遺言執行者の指定
7.遺言と遺留分との関係