成年後見制度は大きく分けると、法定後見制度と任意後見制度の二つがあります。法定後見制度は、申立者が家庭
裁判所に対して申立てをして審判を受ける必要があります。
任意後見制度は、あらかじめ契約を締結し選任しておいた任意後見人に、将来認知症や精神障害などで判断が不十
分になったときに支援を受ける制度です。契約は公正証書で行います。
任意後見人は代理権のみを有し、法定後見人のような同意見、取消権はないので注意が必要です。
◆ 任意後見契約締結から任意後見事務の開始までを調べてみましょう。◆
1.まず、任意後見契約を公正証書によって締結します。
「任意後見契約に関する法律」によって、任意後見契約を結ぶときは、必ず公正証書でしなければなりません。
その理由は、法律的な仕事に深い知識と経験を持っている公証人が関与することにより、本人がその真意に基づいて
この契約を結ぶものであることを確認し、契約の内容が法律に適った有効なものであることを確保することを制度的に
保証するためです。
特に、任意後見は、本人の意思のみならず意思能力を確認する必要があるので公証人が直接面接することが必要にな
っています。
〈公正証書作成にあたって準備するもの〉
□ 本人の印鑑登録証明書、戸籍謄本又は抄本、住民票
□ 任意後見人となる人の印鑑登録証明書、住民票
*上記証明書類の有効期間は、発行後3カ月以内です。
2.次に任意後見契約の内容について見てみましょう。
任意後見制度は、本人が十分な判断能力があるうちに、将来判断能力が不十分になった場合に備えて、あらかじめ自
らが選んだ代理人(任意後見人)に、自分の生活、医療看護や財産管理に関する代理権を与える契約です。
これは委任契約ですから、誰を任意後見人として選ぶか、その任意後見人にいかなる代理権を与えどこまでの仕事を
してもらうかは、本人と任意後見人となることを引き受けてくれる人との話し合いによって自由に決めることができま
す。
また、任意後見契約公正証書が作成されると、誰が誰にどのような代理権を与えたかという契約内容が公証人の嘱託
によって法務局に登記されます。
◆ 任意後見契約の利用形態の選択について見てみましょう。◆
本人の生活状態や、健康状態によって次の3つの利用形態があります。
ご本人のお考えによって選択してもらうこととなります。
1.「即効型」任意後見契約とは
契約締結後(本人が契約締結時点で意思能力を有すること、差し迫っていること等)直ちに家庭裁判所に任意後見監督人
の申立てを行う形態です。
早急に任意後見制度を開始するための契約手続きです。
2.「将来型」任意後見契約とは
本人の判断能力が低下する前における生活支援、医療看護、財産管理事務を行うことを内容とする任意代理の委任契約を
締結せず、任意後見契約のみを締結し、判断能力低下後に任意後見人の保護を受ける契約内容とするものです。
3.「移行型」任意後見契約とは
契約にあたって通常の委任契約を任意後見契約と同時に締結し、当初は前者に基づく見守り事務、財産管理を行い、本人
の判断能力低下後は任意後見に移行し、後見事務を行うという形態のものです。
また、本人の要望により、移行型任意後見契約と同時に「見守り契約」「財産管理委任契約」を締結したり、さらには「
死後事務委任契約」を締結することができます。
◆ 任意後見人による職務の開始について
任意後見契約が登記された後、精神上の障害等により本人の判断能力が不十分な状況になった場合、本人、配偶者、四
親等内の親族又は任意後見人受任者等は、家庭裁判所に任意後見監督人の選任申立てを行います。
そうして、家庭裁判所が任意後見人を監督する立場の任意後見監督人を選任したときから任意後見契約の効力が発生
し、任意後見人はこの契約で定められた事務処理を始めることになります。
〈申立てに必要な書類〉
□任意後見監督人選任の申立書
□本人の診断書(家庭裁判所が定める様式のもの)
□本人の戸籍謄本
□本人の住民票
□任意後見契約公正証書の写し
□本人の成年後見等に関する登記事項証明書
□本人の財産に関する資料
□任意後見監督人候補者がいる場合、その者の住民票又は戸籍附票
□申立人の戸籍謄本
※管轄の家庭裁判所により若干異なります。
◆家庭裁判所の任意後見監督人の選任申立て手続き(HPへ)
◆ 任意後見開始により、任意後見人が行う職務の内容について見てみましょう ◆
任意後見受任者は任意後見監督人が選任されると「任意後見人」として職務を行うことになります。
任意後見人は,本人の意思を尊重し,かつ,本人の心身の状態や生活状況に配慮しながら,任意後見契約時に結んだ契
約内容に基づき,後見事務を行うこ とになります。
代理行為の内容については,個々の事案ごとに異なりますが財産管理に関する法律行為と身上監護に関する法律行為な
どが挙げられます
1.まず金融機関への届出をしましょう。
後見人が事務を開始するに当たっては、まず金融機関への届け出が必要です。取引の当初、金融機関ごとに「成年後見
制度に関する届出書」を提出します。この届け出がないと、成年後見人や任意後見人であっても本人に代わって預貯金の
払い戻しや解約などの財産管理をすることはできません。
2.次に財産管理に関する法律行為と財産目録の作成しましょう。
財産管理に関する法律行為とは,例えば,預貯金の管理,払い戻し,不動産などの重要な財産の処分,遺産分割,賃貸
借契約の締結・解除などが挙げられます。 代理行為の中に,このような財産管理に関する法律行為が含まれる場合, 任
意後見人は,まず本人名義の財産を調査し,財産目録を作成する必要があります。
また,作成した財産目録は、任意後見監督人に提出します。
3.身上監護に関する法律行為について
身上監護に関する法律行為とは,例えば介護契約,施設入所契約,医療契約の締結・解除などが挙げられます。本人の
身上監護に関する法律行為を行った場合には,その契約書のコピーなどの控えを取って管理する必要があります。
◆ 任意後見監督人の職務について見てみましょう。 ◆
任意後見監督人は任意後見人の事務を監督します。任意後見人が適正に後見事務を行っているのか,定期的にチェック
し,家庭裁判所に定期的に報告を行います。
任意後見監督人の監督の過程で任意後見人の事務に「不正な行為」「著しい不行跡」などが判明した場合には,任意後
見人の解任なども視野に入れてその後の対応が検討されます。
〈サポート内容〉 □ 本人の意向把握と確認 (意向確認、委任事務の範囲、計画書作成等) □ 契約書(案)の作成 (本人・任意後見人と契約内容確認、文案作成) □ 公証証書作成代行、調整 (提出する書類の確認・準備・調整) □ 任意後見人の支援 (相談、業務遂行支援) *任意後見人の受任はサポート内容に含まれません。 |
---|
◆ 「成年後見制度」のインターネットセミナー案内
「成年後見制度」について知っておきたい内容に関する資料と音声ガイダンスによる解説版を提供します。☞
1.統計資料から見た成年後見制度
2.成年後見制度の基礎知識
3.法定後見の申立て手続き
4.被後見人を支援する「後見制度支援信託」及び「後見制度支援預金」とは
5.任意後見制度の手続き
6.成年後見制度の課題と状況に応じた選択肢
【 サポート料金 】
内 容 | 料 金 | 備 考 |
---|---|---|
①任意後見業務の設計 | \20,000~ | 現状・要望・課題把握、法的サポート検討、契約形態の設定、任意後見受任者説明等 |
②任意後見契約書の作成 | \17,000~ | 任意後見関係図、代理権の範囲・財産管理、必要条項の設定、代理権目録作成、契約文案作成等 |
③公正証書作成 |
\13,000~ | 契約条項調整、必要書類の収集、公正証書作成等 |
④見守り契約 | ¥10,000~ | 見守り方法、義務、期間等 |
⑤財産管理委任契約書作成 | ¥15,000~ | 委任事務の範囲等契約条項設定、代理権目録作成、当事者調整等 |
①~④セットで | ¥50,000~ | |
①~③+⑤ | ¥55,000~ | |
①~⑤セットで | ¥63,000~ | |
任意後見業務支援 | ¥3,000/h | 任意後見監督人選任申立、財産目録作成、金融機関届出、各種報告等 |
その他必要経費 | 実 費 |
*その他必要な費用
①公正証書作成費用(公証役場における公正証書費用)
②官公署や公証役場等で必要な手数料等の実費は別途必要となります。
③公正証書作成の証人は、2名必要となりますが、当事務所受任の場合は1名の料金のみとなります。
④診断書が必要な場合別途診断書に係る費用が必要となります。
ご契約時に詳細をお見積もりいたしますので、お気軽にお問い合わせください。
【 受任料金 】
それぞれのサポートについて当事務所が受任者となる場合の料金です。
内 容 | 料 金 | 備 考 |
---|---|---|
見守り契約 | \1,000/0.5h~ | |
財産管理事務委任契約 | \3,000/h | |
その他必要経費 | 実 費 |
*別途消費税が必要となります
お客様のご要望や必要に応じて受任の内容が異なりますので、その内容に応じて料金を確定いたします。
ご要望などは事前にお伺い致しますのでご相談ください。見積もりをさせていただきます。